研究     2024年4月20日 23:17






デジタル映像を媒体へ記録するサービスに続いてデジタル,地上デジタルと確実に,映像のデジタル化が進んで来ました. 一方,e-Japan構想に基づき,近年,通信は急速にブロードバンド化が進み,家庭から常時回線でアクセスできる環境が急速に整ってきました. 通信のデジタル化の流れに対して,放送にもデジタル化の流れが来ています.
我々は,1990年代から,動画像のデジタル圧縮技術であるMPEG-2国際標準化に係わり,圧縮情報の高品質化に取り組んできました. デジタル映像の利活用が急速に進み,伝達メディアとしての,蓄積・放送・通信の統合化が進んできました.
情報(コンテンツ)の伝送・伝達の効率化とともに,通信の基本である気持ちを届ける(自分の思いや情報の高品質化による感動など), いわゆる,コミュニケーション能力の向上が重要な課題であり,相手に届けるコンテンツの質や方法が問われる時代になりつつあります.
これらを背景にして,我々は,映像コンテンツ利活用の環境を広げるべく,コンテンツビジネスモデルの創出のための研究を日々行っています. デジタル化の利点となる,記録映像の保護,劣化しない ,情報の互換性,情報の再利用,情報検索などの機能をさらに充実させることが重要なテーマです. 利用者にとって,要求情報取得効率が優れているシステムを開発する必要があります.そのためには,蓄積媒体,放送,通信を統合的に 利用したグローバルな情報システム,情報利用方法が必要でしょう.アナログからデジタルへの移行時に,忘れてならないのは,サービスが 向上する部分と低下する部分があることを理解し,うまくデジタル情報と付き合ってゆく必要があると考えます.
例えば,地上デジタル,BS・CSデジタル放送などのデジタル放送には,身近である放送を楽しむ視聴者へ情報を届ける,さらに情報を探す メディアとして,更なる発展を期待しています.放送も単なる一方向の伝達手段から,双方向性を求められてきておりますが,まだまだ, 通信の分野からすると情報アクセスの観点では必ずしも進んでいるとは言えません.
一方,通信においても,通信帯域のブロードバンド化に支えられ,データ通信からコンテンツ通信の時代を迎えつつありますが,利用者アクセス集中, データの整合性,品質安定,セキュリティ対策などに課題があり,コンテンツ利用に対するサービス環境は充分とは言えません.
映像の利活用は,放送・通信・蓄積などの分野で手を取り合って,統合的なシステムとして開発してゆく必要があると考えています.

そこで,我々は,情報利用者の利用環境を考慮し,利用しやすい情報づくりと情報コンテンツに合った情報通信利用環境づくりを行い, コンテンツビジネスの創出のための研究を行っております.


我々の研究室では,学術活動と連携して,特許権利化を積極的に進めております. 知的情報の利活用と,知的情報の保護を考慮し,先端的な情報通信に関する技術 開発を進めております.

次に,主な特許,及び特許出願情報を掲載しておりますので,技術指導,技術移転等, 興味がある技術がありましたら,お問合わせください.
特許3555756号: 「マルチメディア情報利用方法、マルチメディア情報利用プログラムを記録した記録媒体及びマルチメディア情報システム」児玉明 , 2004年5月21日
特許 第4460011号:「動画像配信システム,動画像配信方法,動画像配信システムにおけるサーバおよび動画像配信システムにおけるユーザ端末」児玉 明 , 2010年2月19日
特許第4469976号:「情報送信装置, 情報受信装置, 中継装置, 情報提供システム, 情報提供方法, 情報提供プログラムおよび該情報提供プログラムを記録した記録媒体」 児玉 明 , 2010年3月12日
特許第4682319号: 「データ送信装置,データ送信システム,データ送信装置の制御方法,データ送 信装置の制御プログラム,データ送信装置の制御プログラムを記録した記録媒体」 児玉 明: (2011.2).
特許第4691652号: 「情報処理端末,配信管理サーバ,配信予約方法,配信管理方法,コンテンツ配 信システム,配信予約プログラム,配信管理プログラムおよび記録媒体」 児玉 明 (2011.3).
特許第4709972号: 「情報処理装置,コンテンツ配信システム,制御プログラム,コンピュータ読み取り可能な記録媒体」 児玉 明, 早川 晴彦 (2011.4).
特許第5174737: 「画像配信システム,符号装置及び復号装置」 児玉明 (2013.1).
特願2004-113616: 「高精度クロックを利用した高速認証方法及び高速認証処理装置、並びに、その装置をコンピ現するための認証処理プログラム」 児玉明・鈴木俊哉
Mei KODAMA:"Method of using multi-media information, system and program recording medium therefor", US7035875B2 (2006.4).
Mei KODAMA:"Motion Image Distribution System, Motion Image Distribution Method, Server for Motion Image Disttibution System, and User Terminal for Motion Image Distribution System", US8005150 (2011.8).



主なプロジェクト,共同研究を示します.
『次世代統合的情報提供サービスを目的としたコンテンツデータの共同利用実験』
MSP型コンテンツデータ配送時の高速ネットワーク下における利便性等に関する実証実験を行った. MSP型コンテンツデータベースを構築し,その利便性等に関する実証実験を行った.また,光回線 による多段中継型のネットワーク構成下においての接続実験及び利便性等に関する実証実験を行った.
(産学連携共同研究, -2001年度)
『ネットワーク分散型映像コンテンツ編集・加工処理実験』
時間の経過やネットワーク環境といった情報の利用環境と価値を考慮し,これらの可変性を考慮した ネットワーク分散型映像コンテンツの編集・加工システムを構築し,高速ネットワークを利用して, その実用性について実証実験を行った.
(産学連携共同研究, -2001年度)
『研究シーズ情報化実験』
県内の大学や企業の膨大な頭脳の集積を活かし,それを最大限に活用していくために,研究開発分野や 組織を超えたネットワークを構築し,相互の交流や情報の共有化を行うための研究交流組織「サイエンス ネットひろしま」の研究情報コンテンツの拡充や大学の研究活動動向(学術情報)をデータベース化する ことなどにより,大学と企業とが一緒に取り組む実用化研究等の促進する情報を提供するシステムの 構築を図るとともに,その利便性等に関する実証実験を行った.
(産学連携共同研究, -2001年度)
『MSPデータを利用した情報更新型映像情報管理方式の研究』
現在,低品質映像コンテンツ単位のネットワーク配送による情報利用料金徴収のサービス開始が始まりつつあ る.しかし,専用受信端末が必要,或いは,通信速度の問題を有し,コンテンツ利用率が伸び悩んでおり,本 格的な事業に至っていない.特に,高品質な映像情報に対してのネットワークを介した配信サービスは事業化 の段階にまだない.本研究では,次世代映像情報コンテンツ配信サービスとして,利用者の必要な情報・新し い情報は,事前配送により利用者端末側に蓄積し,瞬時利用に対応し,使用頻度の低いものは,センターサー バのデータベースから直接配信するといった,高効率情報配信・管理・課金システムの構築を目的とする.高 品質映像コンテンツ利用の選択肢(品質,利用頻度,利用時間など)を増やし,且つ,映像コンテンツの利用料 金の低廉化を可能とする,課金システムを提案した.具体的には,ユーザの要求するコンテンツサブセット情 報をスケーラビリティ技術(階層構造によるコンテンツ一元管理,適応配送)を用いて提供し,利用者ごと且つ部 分コンテンツごとの情報課金を実現する.映像情報の一次利用だけではなく,二次三次利用を考慮した電子情報 における課金体系の構築を目指す.現在,統合的マルチメディアサービスを睨んだ,スケーラビリティ構造として ,マルチメディアスケーラビリティパッケージ(MSP)を提案している.MSPデータの特徴である,自己解凍型情報 動作機能,及び,情報の階層構造を利用し,本研究では,利用者の必要な部分情報のみを利用者端末側に保存・ 管理する,情報配信システムの開発を目的とする.具体的には,時間経過及び利用者の指示により,高品質映 像情報を必要とする際,データセンターから,付加情報のみをダウンロードし,情報変換処理により低品質デ ータを高品質データに更新する新たな情報提供・管理方式を提案し,その有効性を示した.
(財団法人 電気通信普及財団助成, 2001年度)
『スケーラブル映像コンテンツを利用した情報課金方式の研究』
メディア統合およびマルチメディアサービスの統合化を目指した構造化データとして,マルチメディアスケ ーラビリティパッケージを我々は提案している.マルチメディアサービスの中で,コンテンツ流通_ 再利用 を目指したシステム構築が鍵となる.そこで,本研究では,利用者からの要求に沿ってコンテンツデータベー スからエンドユーザへの情報配送システムにおいて,我々は,スケーラビリティ構造を利用した情報課金シ ステムを提案した.本コンテンツ配送_ 管理システムの特徴は,MSPというインテリジェントなパッケージデ ータを利用し,MSP情報処理時に課金操作と連携して動作するところにある.また,ここでは特に情報処理 手順として,情報の更新追加,削除機能を時間的に操作することに着目する.この際,データの動作要求を予 め___ データへ記述することにより,時間経過次元に対する自動動作が可能となる.コンテンツ種別,容量などに 基づく時間関数を定義しておき,コンテンツの受信時間からのシステム経過時間に対して,コンテンツ自身がデー タ更新に対しての自動判断を行うシステムである.本システムのポイントは,スケーラブルデータを自動編集する際に ,ネットワークを介して利用者のコンテンツ利用状況と照らし合わせ,課金情報を送受信することによりシステ ム実現するところである.配送情報の形式を参照し,コンテンツ要求が生じた場合に,課金処理を行うので,情 報の追加利用など,情報量に沿った情報課金が行えることも特徴と言える.今回,課金処理手順で用いる情報変換方 法として,時間スケーラビリティに着目した.スケーラビリティコンテンツの処理手順について述べ,シミュレーシ ョン実験を行ない,以上に示した処理アルゴリズムの評価を行い,その優位性を示した.
(科学研究費補助金, 2001年度-2002年度)
『多機能画像スケーラビリティパッケージジェネレータの研究開発
スケーラビリティの概念に基づきユーザ環境に左右されない画像情報取り出し方式の確立及びソフトウェア(画像 スケーラビリティパッケージの生成ソフトウェア)の開発を行った.
(産学連携共同研究, 2001年度-2002年度)
『MSP交換型高性能データ検索システムの開発』
MSP(マルチメディアスケーラビリティパッケージ)用検索エンジンの設計・開発およびMSPサーバ−利用者端末間検 索システムにおける検索速度および機能性の検証実験を行い,画像の高速検索とシステムの有効性を示し,実用化 の検討を行なった.
(通信・放送機構 産学連携共同研究,-2002年度)
『大容量マルチメディア情報提供システム』
マルチメディア(MM)情報を利用者の便宜に合わせて柔軟に再生・編集・加工・再送する機能を提供する技術である. MM情報に動作・操作自身を有するのが特徴であり,MM情報の解凍時に自動的な情報操作を行うことが可能である. また,コンテンツの利用時に,従来は,MM情報に対応した情報生成器,送受信機を利用しなければ情報交換がで きないという課題がある.加えて,異機種端末或いは異情報提供サービス間での互換性の問題があり,汎用的な コンテンツ送受信システムで統一的に利用することができなかった.本技術により,コンテナ情報や振舞情報を逐次利用 面を考慮して更新することで,コンテンツの動作情報や,著作権情報などのセキュリティ情報を保持したままでコン テンツを利用することが可能であり,コンテンツ流通促進を実現できるところに新規性がある.
(科学技術振興事業団 受託研究 データ補完,2002年度)
『東広島市マルチメディア・モデル研修展開事業』
本事業は,多用なマルチメディアコンテンツを複数ネットワークを使い効率的に流通させる次世代教育コンテ ンツ配信・制御技術の研究開発を行う.当初は核となるサブシステムのプロトタイプ開発に着手し,順次 統合させ最終的には全てを包含したマルチメディアコンテンツ利用双方向遠隔講義・公開講座システムをステッ プごとに完成させた.情報通信技術開発として,TV Anytime Forum 準拠のマルチメディアデータベース・次 世代ビデオオンデマンドシステムのプロトタイプを開発し,情報通信・放送技術の統合等システム開発に係る技 術的な研究実験を行う.次に,このプロトタイプシステムを教育アプリケーション分野であるマルチメディアコ ンテンツ利用双方向遠隔講義・公開講座システムに適用し,実際のフィールド負荷の下で継続した場合の運用デー タ,利用者の評価等,利用状況についてのデータ収集実験を行った.
(通信・放送機構 東広島市,広島大学,三菱電機,株式会社 東広島ケーブルメディア,他,-2003年度)
『情報変換機能を有するMSP情報管理・提供方式の開発』
ネットワーク映像配信時に,利用者にあわせて,映像品質を別々に複数用意する必要がある.本研究では,スケーラ ビリティにより映像の品質ごとにサブセット化されたコンテンツを利用することで,データベースにおける情報量を 削減し,映像情報の一元管理を実現する.映像情報変換技術を導入することで,利用者からのインタラクティブ 要求に対し,待ち時間の短縮を図る,新たな統合的映像配信用データベースシステムの開発を行った.
(総務省 戦略的情報通信研究開発推進制度 ,2002年度-2003年度)
『デジタル映像コンテンツ配信システム』
講義アーカイブを利用したネットワーク配信システムに関わる技術課題の調査および システム構築を目指すコンテンツのインタラクティビティを実現する,ネットワーク環境 とコンテンツ処理環境について検討する.
(産学連携共同研究,2003年度〜2006年度)
『動画像構造化表現と階層情報認証による秘匿性制御方式の研究』
映像情報のネットワーク流通を目的とし,情報取得認証型配信方法として, 階層情報の構造に着目し,階層品質毎に利用者の閲覧秘匿性を制御する新 たな認証処理/配信方式を提案し,その有効性を検証する.
(財団法人 電気通信普及財団,2007年度〜2008年度)